建築・企画・設計・監理
(株)宮崎建築事務所 〒510-0242 鈴鹿市白子本町5-29 TEL:059-368-3330 宮崎達也 HP:http://miyazaki-archi.nobushi.jp/ mail:3839ttsy@gmail.com カテゴリ
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地方の一城主に過ぎなかった家康が、戦国の世でつぎつぎと訪れる危機的状況に「どうするどうする!?」と考えて切り抜けていくうちに、天下がおさまってしまうという。 …って勝手に予測していますが、そんな内容なのかどうかは、まだわからないですね。 というわけで(?)ついに買ってしまいました、寺家(鈴鹿市)の空き家。 もともと、白子地区で空家活用のためのグループBlanc-Co(ブランコ)が、ベルブという市内全戸配布のフリーペーパーに載ったことから、相談いただいた物件です。 相談いただいたのは6年前でした。 所有者様は市内の別のところに住んでいて、数年前にこの土地建物を相続したのだけど、使い道がわからないので、どうすればいいかということでした。 当初は、白子でDIYリノベーションして、伊勢型紙の体験スペースとなったある物件(ヒロモリ家)のような活用を提案したのですが、その後、しばらく連絡がなく、数年後に再び相談がありました。 その頃、ちょうどBlanc-Coのウェブページを見た方から、白子周辺で空家がないかと問い合わせがあったので、隣町の寺家にある、この物件を内見していただきました。 結果的にはリフォームにかなりお金がかかりそうだということで、辞退されました。 同じ頃、私は宅建士の資格を取ったばかりでした。 しかし、宅建士を持っていても、不動産の仕事が出来るわけではありません。 業を行うためには、宅建業の免許を取る必要があり、それには保証協会に弁済業務保証金分担金を60万円支払わなくてはなりません(実際にはそれ以外にも、なんだかんだで100万円以上かかることが後でわかります)。 少なくない投資ですが、古民家などの再生を志向することになって10年以上、実際に再生することが出来たのは数えるほどでした。 いろいろなハードルがあります。 まず空き家を所有している人が、貸したり、売ったりしようとしない。 貸したり、売ったりしようと思っても、法律上の様々な問題があって出来ない。 経験のない人が賃貸事業をするのは面倒だし怖い。 また、売りたい人は最近、割と増えてきたのですが、(今回のように)買いたい人がいない。 私の経験からはどんな建物でも、リノベーションすることは出来るのですが、それをイメージできる人はプロの中でも、その経験のある人だけです。 つまりプロでなければ、空き家を見ても「こんな建物はもう使えない」と思うのが普通です。 私の場合でも、子どもの時からボロい家だと思っていた(失礼)、材木屋をやっている同級生の友だちの家が、見事にリノベーションされ、見に来た人が「こういう家に住みたい」と口々に言うのを見たのが原体験でした。 正直言って、リノベーションする前は、当時すでに建築士であった私でさえ、壊したほうがいいのではないかと思っていました。 それで考え方が「コロっと」変わったというわけなのです。 だから、空き家を見て壊したほうがいいと思う人が多いのはわかります。 最近は、テレビなどで古民家を再生して、カフェや宿泊施設やパン屋さんなどにリノベーションしている事例は、よく見るようになりましたが、それは「元がいいからでしょ」といわれるのがオチで、目の前の空家とは違うものだと思われがちです。 以前、長野市で古民家をリノベーションしたおしゃれなカフェを見学に行ったのですが、リノベーションする前の写真をみて驚きました。 元がいいどころか、戦前に作られた安普請の(失礼)せまい長屋だったのです。 材木屋の友だちの家に続いて、さしずめセカンドインパクトといったところでした。 その後、現在、当社の社屋としてお借りしている、白子の古民家のリノベーション、Blan-Coメンバーでセルフリノベーションしたヒロモリ家、釜石でリノベーションしたco-ba kamaishi marudaiなど、自分でリノベーションを手がける経験を得ました。 それでビフォアからアフターをイメージできるようになりました。 ただ、やはり前述したような理由で、自分以外の人にリノベーションを勧めるのは、依然として難しいです。 特に売りたい人はいるんだけど、買いたい人がいないという問題。 厳密に言うと、土地付きの建物なら、値段次第で買いたい人はいます。 しかし、そういう人の多くは、古い建物を解体して、新しい建物を建てたい人です。 最近は白子周辺でも、空家が売れるようになってきていて、それはリノベーションのためでなく、空家を解体して、建売住宅を建て、販売するためでした。 Blan-Coメンバーで調査して、所有者様にアプローチしていた建物も、次々と解体されて、建売住宅が建ったり、コインパーキングになったりするところもあります。 私は地元に古い建物を残したい、伝統のある街並みを残したい、また建売住宅やハウスメーカーの作る住宅よりも、古民家のほうが魅力があると思っています。 あくまでも単に空家を解消するというだけでなく、活用するためにはどうすればいいかと考え続けた結果、買取再販がいいのではないかと思いつきました。 そこで、最初の話に戻りますが、寺家(白子の隣町)の家を買取再販することに決めました。 現物を見てよさがわかるように、リノベーションしてしまえば、欲しい人が必ずいるはず。 買取再販業には宅建業の免許が必要です。 60万円かかりますが(実際には100万円以上かかりました)、宅建業も取ってしまおうと。 それで、寺家の家の買取と、宅建業の免許申請を同時に進行していたのですが、買取のほうで問題が発生しました(宅建業は取れました)。 土地は相続されて所有権を現所有者様に移転されていたのですが、2棟ある建物のうちの1棟が、所有権が移転されておらず2代前のおじいさんのままになっていたのです。 1代前なら、まだ相続権のある人の人数は少ないのですが、2代前ともなると、戦時中の「産めよ増やせよ」の時代をまたいでいることもあって、かなり多くなり、また亡くなっている人も多いため、その子孫まで辿るのが難しいのです。 所有権を移転するためには、その権利を持っている人、全員から同意を得なければなりません。 これこそ空家活用をはばむ、大きな障壁の一つなのです。 それで、いったん購入を見送りました。 それから、1年半が経ち、昨年の秋、所有権の移転が出来たとの連絡がありました。 最初に思ったのは、正直なところ、気持に勢いのあった2年前と違って「え、どうしよう」という感じでした。 実はその後に、別の物件を購入しようと計画して、銀行の融資が難しいことがわかりました。 ある程度の金額なら、政策金融公庫から借りられそうなのですが、リノベーションの費用まではなかなか難しいのです。 しばらくどうしようかあれこれ考えたのですが、具体的な事業計画は作れず、約束していていつまでもお待たせできないので、今月初めに購入してしまいました。 築150年の古民家。 立地は駅からややはずれますが、伊勢街道沿いの風情あるまちなみの一角。 以前の所有者様は、伊勢型紙職人で、屋根裏の倉庫(つし)には「当て場」と呼ばれる作業台もありました。 かまどや井戸も残っています。 とても魅力的な物件で、リノベーションすれば間違いなく素敵な物件になります。 アトリエやワークスペース、店舗としても利用できるかも。 それは間違いないのですが、融資を受けるのだけが難しい。 さあ、どうするこの古民家!? (次回に続く?)
by 3839ttsy
| 2023-03-13 11:17
| 建築
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