建築・企画・設計・監理
(株)宮崎建築事務所 〒510-0242 鈴鹿市白子本町5-29 TEL:059-368-3330 宮崎達也 HP:http://miyazaki-archi.nobushi.jp/ mail:3839ttsy@gmail.com カテゴリ
全体 建築 プライベート 意匠 東日本大震災 Blanc-Co 尾崎100年学舎 足りない活字のためのことば展 戦争遺跡保存 劇団もしょこむ mori-to-tetsu 釜石大観音仲見世リノベーションPJ co-ba kamaishi 白血病からの復活(闘病日記) まちづくり アンビルト 未分類 以前の記事
2023年 03月 2023年 02月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 06月 2022年 05月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 more... 最新のコメント
|
2015年に劇団もしょこむの旗揚げに大道具スタッフとして誘われ、気づけば8年も経ってしまいました。 現在の団長、小笠原景子さんと、当時新聞記者だった菅野結花さんが、こむろこうじさんの作「平行螺旋」を上演するために結成されました。 平行螺旋は、釜石の平田にあった元仮設商店(当時は空きスペース)で公演した後、あちこちからオファーをいただき、雫石、盛岡、遠野、東京と約1年で計5回公演を行いました。 その次の年は、菅野さんが盛岡に転勤になり、残ったメンバーでON AIRを、釜石地方森林組合さんの事務所をお借りして公演。 ON AIR以降は、少しずつ私も舞台に立つようになり、もしょこむは年1回程度のペースで、公演を行ってきました。 なお、菅野さんは2017年に上京して俳優養成所に入り、プロの俳優になりました。 現在は舞台だけでなくテレビにも出演中のようです(今調べてわかったことも…) 平行螺旋を除くと、1つの演目は1回きりの公演(1日に2回することもありますが、それは1回とカウント)、毎回オリジナルストーリーです。 近年、メンバーの入れ替わりもあって、本を書く人がいなくなったりして、毎年公演が困難になりつつあったのですが、今年は公演することが出来ました。 プロになった菅野さんが、帰ってきたのです!(なんだか鮭みたい?) …といっても、本拠地は東京で、一時的な感じのようですが。 その菅野さんが書いた本を、菅野さんの同級生で、昨年、co-ba釜石のギャラリースペースで作品展示を行った、濱口芽さん(過去の日記)が主演で公演を行うことになりました。 やや話が複雑になるのですが、実は濱口さんが釜石で作品を制作や展示するようになったのは、菅野さんの紹介があったからなのでした。 そして、濱口さんはもともと菅野さんを演劇に誘った、なんなら演劇の先輩でもあったということです。 俳優とアート、多才ですね。 今回は釜石JCの理事長となった、団長、景子さんは役者をせずに(JCが忙しいので)、演出を担当することに。 私は時期的に釜石にどれぐらいいられるか見通しが立たなかったので、出来れば役者を辞退しようと思ったのですが、菅野さんの本ではすでにキャスティングされているし、公演前の1週間の稽古でなんとかなると言われ受けることに。 実際は1週間では無理だったし、結局公演前の3週間、釜石にいて、しかもけっこうヒマだったので…ことなきを得たという次第です。 その間、かつてないほどみっちりと稽古がありました。 平行螺旋をやっていたころは、景子さんと、菅野さんの演技や、セリフのみならず、事細かな小道具の使い分け、早着替えなどの舞台裏を見ていて、とても役者は無理だと思っていました。 それに舞台セットや小道具の作り込みがすごい。 VHSビデオテープでビデオレターを作り、本番中にビデオデッキを動かして映像を出したり、景子さんの役が遺跡が好きな設定なので、本物さながらのハニワを紙粘土で作ってインテリアに飾ったり。 暗転時にも、時間の経過を表す無言の劇が続きます。 約1時間、ひとつの間違いなく、全部の動きを覚えるのは、人間業じゃないと思いました。 2作目以降の作品は、菅野さんがいなくなったせいもあったのか、作(脚本)演出の小笠原梓さんのやさしさのせいか、そこまでハードな内容ではありませんでした。 それで、私でも出演出来たところはあります。 ただし、3作目「華とワカメとヒーロースーツ」のヒーロースーツなど、美術の精巧さは磨きがかかりました。 今回の「絵未本」は平行螺旋に回帰するような、小道具の多さ、インテリアの凝り具合、暗転時も気を抜かない演出を求められ、首の振り方からまばたきまで、細かい演技にまで至る指示がありました。 菅野さんというプロがいて、経験豊富でアーティスト気質(というかアーティストの)濱口さんのこだわり、そして団長が演出に回るということで、求められるクオリティが違いました。 幸い、私は菅野さんのやさしさか、セリフが少なめだっため、何とかなったという感じです。 主役の濱口さんは、演技だけでなく、本番中に絵本を描き上げるという離れ業を求められていました。 会場は菅野さんと濱口さんの地元ということで、陸前高田になりました。 陸前高田では、もしょこむは無名です(釜石でも有名ではないですが)。 また、キャストが足りなかったので、陸前高田のSETという団体さんにヘルプを頼んだところ、山本康平さんというイケメンがジョインしてくれました。 山本さんは演劇の経験はなかったのですが、NHKのドラマ「拾われた男」を見て、役者をやってみたいと思ったとか。 初めてとは思えない迫真の演技でしたが、練習の熱心さを見ていれば納得でした。 本番当日、果たしてお客さんが来てくれるのか不安でしたが、陸前高田の役者のみなさんのお知り合いを中心に100名近い方のご来場をいただきました。 セットに使った小道具やインテリア、家具類は3月にオープン予定の「泊まれる古本屋 山猫堂」さんからお借りしました。 山猫堂さんには古本だけでなく、空き家の整理で出てきた、古道具も販売する予定で、濱口さんがスタッフとして関わっていることもあり、レトロな小物や家具が揃っていました。 ここまでの状況説明で、やや疲れてしまいましたが(読む方もだと思いますが…)、以下感想です。 まずなによりも、当時は舞台の外から見ていた、平行螺旋をほうふつさせるクオリティの舞台に立てたことを、とても光栄に思います。 (終わってから知ったことですが)テレビにも出ている菅野さんと共演したのは、あらためて恐れ多いことでしたが、貴重な機会になりました。 演劇はもしょこむで初めて接することになったのですが、たぶん、もしょこむというのは普通ではない劇団なのだと思います。 他の演劇関係の人と接して感じるのは「ダメ出しが好き」ということです。 しかし、私はダメ出しされるのが大嫌い。 なので、普通の劇団では、おそらくつとまりません。 1から作って、楽しんで作って、それぞれがアイデアを出してどんどん積み上げていくのがもしょこむであり、そんなもしょこむが、改めて好きなんだなと思いました。 ダメ出しというのは減点法ですが、もしょこむは加点法なんですね。 ある意味ゆるいですが、その分楽しい。 ひょっとすると、プロの菅野さんあたりは、歯がゆい部分もあったかもしれませんが、終始ニコニコと楽しそうにしていたのでありがたかったです。 個人的には新人の山本さんがいてくれたおかげで、演出の景子さんの矛先…いや熱心な演技指導がそちらに向きがちだったことも助かりました。 もしょこむが特殊かもしれないとはいえ、演劇はやってみて面白いと思います。 基本的にものづくりが好きなのですが、決まりきったものを作るのではなく、未完成でも新しいものを作りたい。 職人ではなくクリエィターでありたい。 演劇にはその欲求を満たしてくれる、自由さがあると思います。 建築の世界には昔はルネサンスやゴシック、日本なら書院造りなど「様式」がありました。 それが近代になってなくなり、建築家の仕事は今までにないものを作ることになりました。 演劇もオペラや歌舞伎のようなものがありますが、現代の演劇は比較的自由なように感じます。 そのあたり、似ているところを感じます。 今回の公演では、最初は役者だけやって、大道具やセットにはタッチしないつもりでした。 直前になってインテリアをまとめるように投げられ、ちょっとドタバタしました。 限られたもので、短時間で考えるミッションも、それはそれで楽しかったですね。 100均で飾り付けを買ったり、流木を拾ってきたり。 セットはおおむね好評でしたが、一役買ったところはあったのではないかと思います。 カウンターは、co-ba釜石のギャラリースペースでイベント用の什器として使っていた部材を使って、釜石ローカルベンチャーの伊藤詩恩くんに作ってもらいました。 セットのほうもいいのですが、今までほとんど気にしていなかった、音楽や照明も奥が深くて面白いと思いました。 今回は古株の音声照明班が参加出来ず、団長と比較的新しい団員の岩城さん(岩ちゃん)、そして大道具として助っ人に入った伊藤詩恩くんが担当。 前日にはじめて機材に触るのと、照明計画が固まっていなかったので、実は前日と当日の2日間は役者より大変だったかも。 役者も面白いですが、音楽や照明にももっと凝ってもいいと思うし、脚本演出にも興味が出てきました。 来年、公演するとしたら…ですね。 公演の準備は長く地道で、本番は緊張、終わった後の一瞬が楽しい。 翌日からは数日ロスになります。 週末になって、ようやく復活してきました。 最後になりましたが、ご来場いただいたみなさま、ご協力いただいたみなさま、メンバーのみなさん、ありがとうございました!
by 3839ttsy
| 2023-02-24 21:41
| 劇団もしょこむ
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||