建築・企画・設計・監理
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今朝、妻に高田松原道の駅が、内藤廣さんの設計で完成したことを教えられました。 妻は建築の仕事をしているわけではないのですが、前職が新聞の文化面を担当していたことから、建築家のことなどを結構知っています。 恥ずかしながら全然知らなかったので、ホントかな?と思って、ネットで検索したところ、確かに内藤廣さんの設計という記事が見つかりました。 それを妻に見せると「あ、それ私が書いた記事だね」と言われました。 なんだか、孫悟空が筋斗雲で飛んで、お釈迦様からうんと遠くまで遠ざかったら、お釈迦様の手の中だったという逸話を思い出しました。 孫悟空と言ってもドラゴンボールではなく、オリジナルのほうですよ。 念のため… 妻は左右対称の、カメラに収まりきらないほど横に長い、シンメトリのデザインだと言っていました。 善は急げということで、さっそく、見に行きました。 三陸道のインターを降りると、今までの感覚だと左に曲がってまっすぐいけば着く感じだったのですが、道が変わっていて、何度も曲がりました。 以前の一本松駐車場の国道45号線をはさんだ向かい側に、それらしき建物がありました。 最初に見たときは、正直「これが内藤廣?」と思ってしまいました。 道路に平行に細長くくて四角い、普通の道の駅とか、サービスエリアの建物という感じに見えたのです。 ちょうど真ん中に駐車場に入る車道があり、駐車は左右に分かれるようになっています。 右側の駐車場に止めて、まずは建物の右端からアプローチ。 リン酸処理の亜鉛メッキ鋼板や、集成材?らしき型枠のR面取り柱、軒天井や一部の壁にふんだんに使われる杉材など。 思うのですが、大御所と言われる建築家ほど、大きい建物に向いていて、空間や建材の使い方がダイナミックで、リッチに見えます。 若手はどちらかというと、部分に力が入り、アイデアがあって面白いのですが、規模の小さい作品に向いているという感じがします。 建物は横に長くなっていますが、真ん中が一部屋外になっており、屋内空間は2つに分かれています。 私が最初に入ったほうの右側は道の駅で、物販などがならんでおり、左側は津波伝承館になっています。 この辺りから、だんだんと「さすがは内藤先生」という気分に変わってくるのですが、その水盤を左向きに回って、建物の正面側に来た時に、あることに気が付きました。 「あ、これは、もしかして…」 建物の正面側から、海の側にまっすぐな道がつづいていて、その先に階段があります。 後ろを振り返ると、施設の名称を書いた、コンクリートの塀のようなものがあり、さっき入ってきた道路が正面にあります。 とりあえず、入ってきた車路の外まで戻ってみることにしました。 その先には、以前、三陸道のインターまで続いていた道路があり、今は工事中のようでした。 国道を横断し、反対側の横断歩道に立つと、やはり間違いない。 「軸線ビーム」とは、ノンフィクション小説「磯崎新の「都庁」-戦後最大のコンペ」の中で、丹下健三さんの多用したデザイン手法として使われている言葉です。 平和記念公園の軸線デザインについては、過去の日記に書いてあるので、ご参照ください。 噴水と水盤という違いもありますが、水が真ん中にあることも似ています。 ![]() ![]() ![]() さらに湾の出口(?)、左右の半島の中心も軸線上に近いです(さすがにここは少しずれているかもしれませんが)。 つまりこの軸線は、津波が来た方角を指しているのかもしれません。 この徹底した軸線デザインには、かつての建築家が持っていたような、強いデザインの意志を感じます。 内藤廣さんは菊竹清訓さんの事務所に勤めていたらしく、丹下健三さんの弟子ではないようなのですが、この作品は丹下健三リスペクトといってもいいのではないでしょうか。 建物単体ではなく、建物の配置からランドスケープも含めて、一つのダイナミックな作品と言えるでしょう。 陸前高田に、また素晴らしい作品が出来ましたね。 ところで、階段を登った献花台からみて気が付いたのですが、この献花台があるのは、防潮堤の上なんですね。 各地で「海が見えない」と批判の多い防潮堤を、ポジティブにデザインに取り入れるのも、さすがという感じでした。 そうしなかったのは、立地的に不可能ということもあるでしょうが、そもそも奇跡の一本松は、10年ぐらいしかもたないそうなので、原爆ドームのように恒久的なものではないからでしょう。
by 3839ttsy
| 2019-10-10 12:22
| 建築
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